セガール幹事長代理

100日間生きたワニのセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

100日間生きたワニ(2021年製作の映画)
1.5
混浴で女性を待ち伏せる男を業界では「ワニ」と言うんですが、そういうジャンルを期待して鑑賞すると深い悲しみに襲われます。予めご了承下さい。

動物のワニが死ぬ前と後の話。

リア充と非リア、パリピと陰の決定的な違いというのは、土足で人の心に自然に入り込めるか否かにあります。
友人に幸福が訪れた時に自然とハイタッチできるのがリア充で、嫉妬しながら不自然な笑みを浮かべるのが非リア。
知り合いの女性が失恋したら呼吸をするように土間土間集合ホテル解散できるのがパリピで、女をふった男からモゴモゴと厭らしい写真をねだるのが陰、といえるでしょう。

本作の評価が芳しくない為、どんなゴミ映画なのかと期待して観始めたのですが、確かに全然面白くないんだけど、そんな親の仇みたいな扱いされる程ではありません。
ここまで叩かれる理由は、話に緩急が無いとか、たまに知らない動物が出てくるとか、そういうこともあるんですが、恐らく「カエルくん」という登場人物が原因なのでしょう。

彼は恐らくそういうキャラじゃないのに、無理してぷちゅへんざっ系のノリを貫き続けるのですが、これがいい塩梅でウザいのです。
これは学生時代に異性と上手くコミュニケーションをとることができなかった男に多い現象なのですが、彼らは頼んでもないのに他人のプライベートスペースに不法侵入を繰り返し、簡単に言うと人との距離の詰め方が恐ろしく下手で不自然なのです。

フォークダンスでペアの女子に泣かれた小6の体育祭、画鋲まみれでルブタン化した上履きに絶望する中3のバレンタイン、男だけの寒中水泳に涙した高2のクリスマス、新宿2丁目で謎の白い液体をオキニのブイネックにぶっかけられた22のホワイトデーと、私は生粋の陰なんですが、そんな私から見ても、パリピぶった非リアとは痛々しい存在です。

しかし、ここで一つあえて言いたいのは、そんなハタから見てキツいアクションも、元をたどればカエルくん本人が持つ「自分を変えたい」、そんな気持ちがあったからなのです。
夜なのにグラサンかけ続けたこと、どう見ても機能不全な先の尖った靴ばかり履いていたこと、好きな女の前でわざとタバコの箱を落としたこと。そういう経験の積み重ねにより、男の器は大きくなるものです。
それを簡単に切り捨て、安全な場所から批判することが一番浅はかであると、私は感じます。

ワニの死因よりカエルのバックグラウンドが気になる。そんな映画でした。
ただもう一度言いますが映画は全然面白くありません。