ドラマ版から引き続き安定感は健在で劇場版でも特にこれといった事件は起きず。彼らにとっては事件だけど。でもこれでいい。作り手はそれをちゃんと分かっていて２時間シロさんとケンジのノロケを見せつけられる。この柔らかな日常を見たかった。ドラマの尺より長い分、アドリブが画面に映る回数が多くてみんな楽しそうに演技するのが愉快。演技というか綻びというか。西島さんの笑顔で顔がクシャってなるのはズルいし、山本さんの目で笑わせにくるのがとにかくズルい。西島さんはクリーピーとかドライブマイカーとかなに考えてるか分からない役を見てきたので今回口角上げて笑ってるのを見るとホッとする。
ケンジは普段は乙女なので会話を締める一言を発したりするとそのギャップで心の琴線に触れたりする。これは内野さんの演技力に尽きる所業だと思われる。老いとか相手も含めた家族のこと、これから悩んでいくだろう身につまされる話があって、でもこの人だったら乗り越えていけるだろうというのがシロさんとケンジを通じて見える。あの絶妙な距離感、その誠実さに心惹かれるところがある。
そんな２人の幸せな空気を劇場内で他の観客と共有できる喜びを噛みしめた。この映画は一見さんでも楽しめる内容になっていると思う。ここから裾野が広がっておかわりお願いしたいです。
一つ気になるのはあの裁判の話はどうなったんだろうとは思いました。
