シミステツ

護られなかった者たちへのシミステツのネタバレレビュー・内容・結末

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

震災の苦しみや痛み。被災者、苦境に立たされた人間たちの悲痛な叫び。震災から時を経て、宮城県内で連続殺人事件が起こる。

世間に迷惑とかではなく権利。最低限度の生活のために声を上げていいという円山の言葉は胸に刺さった。
捜査線上にあがったのは利根。その背景にあるものはけいさんの生活保護申請、そして死。その経験から同じ境遇の人を救いたいと願う円山、誰も救えないと言う利根。
生活保護利用率は欧米諸国は5-6%、日本は1%、国連は貧困問題に関して勧告も。役所の人間がかなり悪に描写されてたし、三雲(瑛太)は特段嫌な奴だなと思った。

けいさんには実の娘がいた。娘に知られたくないなら辞退できると勧めたのは三雲。役所の職員も震災で疲弊しきっていたという背景も描かれる。「原理原則」が多くの人を救うことになると信じた結果、救えない命も出てくると。
円山の強い信念グッときた。

みんな、ひとりぼっちじゃない。


「おじさんも奥さん見つかった」
「よかっ…た」
「よかったかな」
笘篠の静かに涙が頬を伝うシーンが印象に残った。

「声を上げるんです。声を上げれば、誰かが答えてくれます。世の中捨てたもんじゃないんです。誰かが、手を差し伸べてくれるんです」

「死んでいい人なんか、いないんだ」