ちろる

キャデラックレコード 〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜のちろるのレビュー・感想・評価

3.7
音楽の歴史を大きく変えた、あの伝説のレーベル キャデラックレコードを立ち上げた白人男性レナード チェスを中心に描いた物語。
ブルースやソウルに詳しいわけではないけれど、始終カッコいい音楽が流れ、粋な会話劇が繰り広げられるおしゃれな作品。
特にエタ ジェームズを演じたビヨンセが出てきたあたりからは特段に引き込まれる。
どこまでがノンフィクションなのだろう?
ストーリーとしては割と地味な故に、割と史実に忠実なのかな?と思ったりもします。
愛する妻を不自由なく生活(I wanna make her drive caderac)させるために黒人の類いまれなる才能を売り出そうとしたチェスの精神は決して美談とは言えないのかもしれない。けれど、結果的に黒人にとって小作人やギャング以外の別の未来の道をしいたこになっていった。
のびのびとマディたちが歌い続けてヒットを打ち出せたのは、チェス自身に黒人に対する偏見や搾取する姑息さがなかったせいだろう。
この作品の登場人物らのこれらの頑張りが、なけば今日の音楽のいくつかも生まれなかったかもしれない。
そう思うと1人の男のとある欲望も、捨てたもんではないなーなんてふと、思ってしまう。
この当時の人種差別についてちりばめながら、決してお涙頂戴にはしない秀逸な脚本がら好き。
ビヨンセのソウルフルな歌声たちに魂が何度も震えてなぜか少しだけホロリ。
音楽をテーマにしてるのだからこんな感動のカタチは正解なのかもしれません。
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