けい

犬は歌わないのけいのネタバレレビュー・内容・結末

犬は歌わない(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

現代モスクワでの撮影部分を見るに、犬同士の間合いの取り方はなかなか予想がつかなくて、人間達の生活と並走して犬社会という別世界があるんだろうなと妙な所で感心しながら見た。

しかし横断歩道を通りゆく人間に対してごく近距離で何でもないようにすれ違っていったり、これを撮影している人間のことも気にしていないのか(どうなんだろう)、犬と人の間合いもまた不思議だ。宇宙開発というプロジェクトのもと、あるいは野良犬の駆除だとか、犬社会から人社会へ犬たちが取り込まれるとき、目的のために押し込められていく姿はとても痛々しいものとして映る。

しかしどの生物も自己の生存のために他の種を利用したり食べたりしている。どこまでが許される、というかそれは誰の倫理なのか?段々わからなくなってくる。違う身体で、違うレギュレーションで生きている生物とどう共存していけるのか急に不安になり、まとまらない感想のまま、ナイチンゲールの声色の豊かさに「すげぇ」と驚きながら終演。
けい

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