「二十四の瞳」と同じく、戦争前後の一般の人々っを描いたいかにも松竹的な作品。薄味だが、細々でも滔々と続く川のように酸いも甘いも嚙分けた作品。ちっぽけな市民の物語でも、悲しみと嬉しみの掛け替えのないドラマがある。
それにしても「この世界~」を見てても思ったことだが、恋愛結婚、恋愛ロマン主義は必ずしも正しくないという感じをうけた。恋愛競争主義だと、当然こぼれ落ちる人が無数にいるし、結婚してから恋愛が始まる夫婦も素敵ではないか。恋愛で結婚してみても、長続きするかどうかというと別問題である。それを決めるのは、お互いの誠実さや責任感や義務感といった要素かもしれない。