AyuAyu15

タゴール・ソングスのAyuAyu15のレビュー・感想・評価

タゴール・ソングス(2019年製作の映画)
4.2
タゴールの作った歌が、インドに住む…特にバングラディシュとかベンガル語を話すタゴールの故郷の地域で100年もの間時代や文化が変化する中でも形を変えながら普遍的に愛されて歌われていることを知る。

近代化の波が押し寄せ、表面的には昔に比べて随分と豊になり、人々の間にも自由な空気が生まれて来ているように見えるインド。
でも未だ貧困や男女の差別、封建的な考え方や家に縛られているインドの人々。

そんな人々が、貧富の差とか性別の違いとか、そんなものを越えて、それぞれ自分の生きる道につまずいた時、迷った時、心が折れそうな時…。
それぞれの思い、それぞれの気持ちをタゴールの歌に寄せて歌い、そして心を癒す。
そんな不思議な歌、日本にはあるだろうか。

タゴールの歌には人が真っ直ぐ自分の思うままにに生きようという時に誰もが感じる感情や心の動きが強く優しく籠められているように思う。

そしてそのタゴールの歌を、誰かに聞かせるというよりはむしろ自分のために、自分の心をなだめたり、自分の気持ちを奮い立たせるために歌う、その時の人々の表情の美しさが素晴らしい。
強く、静かに、憂いに満ちて。でも決して下を向くのではなく。

とても魅力的な歌でもっと知りたくなった。
AyuAyu15

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