レオン

TITANE/チタンのレオンのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.0
支離滅裂な変態作品なのか、多要素を盛り込んだ傑作なのか、それは視聴する方の判断次第。
作風は台詞を極限まで削除して、状況描写で物語を進める私の好きな演出。
2021年カンヌのパルム・ドール受賞(グランプリより上の最高賞)
でも、事前情報を全く入れず視聴する事をお勧めします。

尚、タイトルのカタカナは日本語表記と思ったが、フランス語でも、チタンのようだ。チタンヌと最後に小さくヌと発音。英語発音ははタイタン。

↓ネタバレ要素あり

色んな要素を盛り込んで一気に魅せる。
対物性愛・同性愛・サイコパス・クライムサスペンス・性描写・ヒューマンドラマ・グロテスク・ホラー・オカルト・SF・倒錯・家族愛

とまあ、これだけの多要素を、よく108分に詰め込んだ事に感心する。この女性監督は脚本も書いているので、天才を通り越した超変態だ♪

主演のアガト・ルセルという女優さんは、なんと今作が長編デビュー作で、その堂が入った演技は、とても初主演とは思えない。
どのシーンを見ても、そこには異常人物が本当にいて、役者の演技には見えない。
なりきっているではなく、主人公アレクシア本人そのもの。

消防署内で、親父が部下に息子だと紹介するシーンも、
本人には台詞はないが、目線の移動だけで、
不安や照れくささ、「私はどうしたらいいの?」という様な感情を表現している。 まさに ”目は口ほどに物を言う” シーンである。

私が審査員なら主演女優賞も進呈する。
(シカゴ映画批評家協会・最優秀女優賞ノミネート、ヨーロッパ映画賞・最優秀女優賞ノミネート、リュミエール賞・最も将来有望な女優 受賞 などそれなりには評価されている)
おそらく今後、感動的な作品に出演すれば、もっと彼女の評価は上がるだろう。

邦画をバカにする訳ではないが、日本の女優さんでここまで役に没頭できる方は、ベテランでも滅多にいない。

役者が一瞬カメラを見てしまい、あわてて目線を移動する、いわゆる "目が泳いでいる" 状態を、
邦画では時々目にする事がある。が、欧米作品では滅多にない。 映画という芸術に対する姿勢や基準が、現在の日本よりずっと厳格なのだと思う。

尚、妊婦腹は特殊メイクと思うが、全く違和感なく立ち姿は本物の妊婦に見えた。

初回の視聴では私基準で★3.8ぐらいに感じたが、
2度目見て主演や親父役ヴァンサン・ランドンらの演技力、無駄のないシーン展開、トラウマ的心理描写等、より深い作品に気付く。

ただ奇妙な作品だけに留まらず、愛情面での表現も加味され、唯一とも思えるオリジナリティーさもあり、2度視聴後に★評価はオマケして4.0にアップ♪
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