つかれぐま

TITANE/チタンのつかれぐまのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
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ポリコレの「その先」

愛と暴力。
生物と無機物。
同性と異性。
血縁と他人。

色んな対比が入ったアートホラー。どこへ連れて行かれるのか?分からなくて面白かった。

主人公は、愛はもちろん暴力も知らずに育ったんだろうな。だから人の痛みが想像できず、まるで相手が無機物であるかのように暴力に抵抗がない。そして愛し方も愛され方も分からないから、ディスタンスが閾値を超えると本能的に殺してしまう。

人間凶器な主人公のトランキライザーになるのが消防士のヴァンサン。この疑似父が父権主義、マチズモ、実の息子のクイアも認めない、とポリコレ文脈で言えば全てがアウトな人なのであるが、そんな男がメシアになる(炎を消す)という皮肉にニヤリ。

主人公の聖痕など、結局「聖書」オチになるんか~いという感じだが、ポリコレやLGBTQの「その先」を見据えようとする視点は見応え十分。