しん

ハウス・イン・ザ・フィールズのしんのレビュー・感想・評価

3.1
アップリンク渋谷が閉館するその日に、最後の作品として選びました。

残酷なときの流れを、静かに描く作品です。ドラマチックな展開も救いもありませんし、ある意味絶望もありません。モロッコの山奥には男女共同参画などという言葉が届くはずもなく、少女は義務として結婚していきます。

しかし本作の裏側からのメッセージとしては、女性のエッセンシャル・ワークがなければ、村の全ての機能を絶対に維持できないということではないでしょうか。グレーバーは『ブルシット・ジョブ』の中で、ケアが労働と見なされてこなかった歴史を解説していますが、まさに本作は女性たちが担っている機能の大きさ(と比較して、男性が大した機能を担っていない可能性)を描き出しています。一家の大黒柱や家長という言葉が実態を表していたのか、そんな問いに答える作品にもなっているかと思います。
しん

しん