ちろる

シークレット・ラブ: 65年後のカミングアウトのちろるのレビュー・感想・評価

3.9
65年という長い月日をかけて密やかに育ててきた愛。
そしていま、人生のラストステージを立つにあたり避けては通れない老老介護について赤裸々に見せるドキュメンタリー。

2人がアメリカに住んでいる事でいくらかは理解があるように見えても、彼女たちの若い頃は、レズビアンだと知れ渡るだけでも逮捕されてしまうような時代。
バレないように名前のところだけちぎって棄てるというその事実がどれだけ危険な愛だったのか思い知らされる。
そんな偏見の中で、愛は枯れる事なくむしろ互いにとって互いが離れられないような大切な存在になっていった。
2人が手を繋ぐだけでその愛がとても深いものなのだと伝わってくる急遽のラブドキュメンタリー。
本当に温かい。
彼女たちの歩んだ65年はLGBTにとっては激動の時代。少しずつ色んな事が解けてきたり、そう思ったらまたエイズが流行った事できつく差別されたり、気持ちが揺さぶられ続けたに違いない。
そんなプライベートの側、働く女性として、そしてスポーツ選手としても戦ってきた女性としてのパイオニア、本当にかっこいい。
そんな色々背負って生きてきた2人がようやく誰にも包み隠さずに、祝福されて結婚式を挙げられたシーン、感動します。

パットがテリーの姪っ子に態度悪くしちゃうのもね、なんだか天涯孤独のパットの気持ちを想うと分からなくもない。
愛されてるテリーが羨ましいし、取られちゃう気がしたんではないかな?

なのに、その後残されたのがパット。
強がっちゃうタイプの人だからどんな残りの余生を過ごしているのかな。
ちろる

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