『Fukushima50』なんかもそうだったけれど、邦画の悪しき定型を寸分違わずなぞってるにも関わらず「私、高尚ですよ？」感に満ち満ちていて寒気がした。演出ができていない凡庸さの自覚からかバカのひとつ覚えのように何度も画面を揺らし、最近流行りの表に出てこない裏側のリアリティに焦点を当てる社会派な外面をしつつも、全キャラクターをステレオタイプなハリボテで構成するというリアリティから最も遠い場所で展開される血の通っていないドラマに心が動かされるわけもなく。きっと綿密な取材のもと製作されているのだろうけど、部外者から見た主観の範疇を超えていないのでは？と感じてしまうほどに稚拙。というより、物語を成立させるための製作者側に都合の良い一面に傾倒しすぎていることが恐ろしいまでの浅さにつながってしまっている気がする。それらが同じであるということに考えが及んでいないんだろうね。そもそも三時代を跨いでいるのに、細かなアイテム・画面等の外面でしか時の変遷を描けていないのが致命的だよ。
