にく

メイド・イン・アメリカのにくのレビュー・感想・評価

メイド・イン・アメリカ(1993年製作の映画)
3.5
「黒人女性(母娘)」(アフリカ)と「白人男性」(ヨーロッパ)の間を取り持つのが「(アメリカの熊とアフリカの象という野生の)動物」であることに注目したい。「人間」は己れだけでは「人間」たり得ない。「(人間以外の)動物」を合わせ鏡にして初めて人種を超えた関係性を構築、つまりはアメリカの理念そのものを建設できるのである。
 カーディーラーであり、カウボーイを気取るデッド・ダンソンが結局のところ馬に乗り損ねる男であることも忘れずにおきたい。というのも、これは『モンタナの風に抱かれて』(98)と極めて近い物語構造を持つ、父権(白人男性と馬の友愛によってそれは象徴される)が失効した場所から立ち上がる西部劇でもあるからだ。
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