このレビューはネタバレを含みます
原題 PLEIN SOLEIL
何十年ぶりか。
アラン・ドロンがルネ・クレマンの演出にぴったりはまったということなのだろう。階級意識の強い社会で生きてきた人たちのそれぞれの視線や感情が作品の肝で、アラン・ドロンもこの時は下に見られてきたことへの反発や恨みを見事に表現している。終盤、ひとりでチキンを食べるシーンは、お金は手に入れても階級差には超えることができない育ち方や生活の仕方があることをほんの一瞬で語っていて印象的だった。焼けたチキンの捌き方や食べ方を知らないトムは自分でそのことに気づくこともできない。
原作では結末は違うと聞いた。映画としてはこの脚色が功。
最後のトムのニコッとした顔は流石の演出だった。
Bravo.
ビーチで「太陽がいっぱい」と訳されている台詞は"Le soleil tape, mais…"。