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あのこは貴族のymmtdiskのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

良い映画だった。小説も読みたい。

榛原華子(門脇麦)は松濤に実家がある良家の女性で、個人的にその階層のことはよくわからないにしても、悩みは同級生が結婚・出産していく中で自分も遅れないようにすること、と一般的。なんともいまいちなお見合い相手を経てようやく出会った青木幸一郎(高良健吾)と婚約するが……と。

私自身の立場も「地方出身の東京移住者」なので時岡美紀(水原希子)と重なっている。同窓会での「親の生き方をトレースしているだけ」という返しに、「あああ、そんなやつ確かにいそうだなぁ」と思った。幸一郎であってもそうなのだ。
私自身は、親や祖父母の仕事が継ぐようなものではなかったということもあって、自分のやりたいようにさせてもらったと思う。少なくとも地元や家柄に縛られてはいなかったはず。

華子の学友でバイオリニストの相良逸子(石橋静河)。マカロンタワーのてっぺんから1個取って花を載せる様子を見て美紀が彼女を気に入る流れが好き。ただ、婚約者である華子と浮気相手とおぼしき美紀を引き合わせるという状況は、よくあることなの?

美紀の地元同級生で同じ大学に進んだ平田里英(山下リオ)。美紀と里英で自転車二人乗りするシーンが好き。
華子のパートでも橋の向こうの自転車二人乗りの見知らぬ女性らと手を振り合うシーンがあったり、終盤では華子と逸子が子供用三輪車に乗るシーンもあり、「二人乗り」というのが象徴的に使われている気がする。

性別や階層・階級、生まれの関係なく、脈々と過去から継がれてきた呪縛に囚われてしまうことがあって、それを抜け出す手段としての「連帯」が描かれているのかな、と思った。
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