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ディア・ハンターのymmtdiskのネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

村上春樹『羊をめぐる冒険』に筋書きが酷似しているというのを聞いて。

製鉄所で働くロシア系アメリカ人のマイケル、ニック、スティーブンらは、休日に鹿狩りを楽しむ平凡な仲間たちだったが、3人はベトナム戦争に徴兵され戦地へ赴くことになる。その壮行会を兼ねてスティーブンの結婚式が行われ、その中でニックもリンダにプロポーズをし、承諾を得る。
戦地では米軍は苦戦し、偶然再会した3人も捕虜として捕らえられる。ベトコンの監視兵にロシアンルーレットを強要され、成功しても失敗しても待ち受けるのは死という状況にスティーブンは発狂寸前になっている。冷静なマイケルは自棄を装って銃弾を3発込めさせることに成功し……という具合の前半。

字幕版で視聴。字幕版は183分、吹替版は147分という差があった。
基本としては3人の友情がベースにあり、戦争帰還兵が心に負う傷、PTSD、悲しみの共有についての映画ではあるけど、戦争自体について否定的な視点かというとそうではなさそうに感じた。
マイケルとニックとリンダの三角関係。マイケルとニックの間にもただならぬものがあったように描写されている(結婚式後の全裸ダッシュからワンショットの件)。
鹿。1度目の鹿狩りではワンショットで仕留めるが、2度目の鹿狩りでは(あえて)獲り逃すところに「喪失」を見出す。
マイケルがプレイヤーとして迎える2回目のロシアンルーレットのシーンは、そのやりとりが悲しく、それでいてすごくよかった。
ニックを救出に向かうが、結果としてそれが自殺という形で喪失に繋がるというのは、『羊をめぐる冒険』の「僕」と「鼠」の関係と一緒で、重たくやるせない気持ちが残るところも一緒だ。
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