はる

あのこは貴族のはるのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.5
あけましておめでとうございます!
今年も良い映画に出会える一年にしたいもんです!改めてよろしくお願い申し上げます!

本作は昨年に観てたんですけどレビューし忘れてたので今年一発目のレビューになります。

ホンモノの金持ちってのは庶民の目につくような場所には降りてこない。なんせちょっとお茶をするのに平気で5000円くらい出せちゃうんですから。じゃあそういう連中って鼻につくわねぇ〜っていう映画かというとそうではなく、どんな家柄に産まれようが人間誰しも苦悩があり、それぞれの場所で頑張って生きているんだよという映画です。

主演の二人はそれぞれ階層の違う女性、門脇麦は松濤産まれ松濤育ち生粋の箱入り娘華子、水原希子は地方出身で進学を機に上京してきた美紀というキャラクターを演じています。共感する人が多いのではという点では美紀の方に比重があると思います。名門大学に進学するも金銭的事情で退学し、水商売を経て友人と企業するに至る非常に苦労人の彼女ですし、その友人の山下リオとのやり取りは身近に感じるからかどこかホッとしますね。屈託なく芯が通っている彼女のちょっとした言動にはお気に入りのものが多いです。同窓会で近寄ってきた男にズバッと言うところとかね。一方想像もつかないほどのお金持ちである華子のパートに対しては共感出来ないのかというそんなことはありません。こちらではレールを敷かれた人生の不自由さ。男は親に決められた後を継ぎ、女は結婚し世継ぎを産む。今では前時代的な価値観の中で生きることの虚しさみたいなものが華子しかり高良健吾演じる幸一郎によって表されています。

あまり他では観たことがないタイプの映画なんですよね。お金持ちの実際のことは分からないですけど描写にリアリティを感じますし、ゆったりとした物語のリズムと画に品の良さがあります。細かい美術や仕草や台詞、至るところまで気が遣われているのもまた素晴らしいですね。

山下リオと石橋静河みたいな友人がいる二人が羨ましいですよね。主演も良かったですけどあの二人の最高さハンパなかったです。原作も取り急ぎ購入したので早速読んでいこうと思います。
はる

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