あんだーそん

あのこは貴族のあんだーそんのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.8
・ストーリーは東京の上流階級と地方の庶民出身の女性の対比というかたちで進んでいくが、美紀が「うちの地元でも親の人生をトレースしてるやつがたくさんいる」という言葉どおり、核のテーマとしては出身や出自がどうこうという話ではなく、他者に決められた人生を生きるか、主体的に選択しながら人生を生きるかという話はなのだと思った。
・最初の頃の華子は20代後半という年齢の割に受け答えや仕草が非常にぼんやりしていてかなり幼い印象。マナーだけを完璧に身につけた子どもが大人の指示に従いながらそのまま年だけ取ってしまった感じ。門脇麦の表現力の高さを感じた。
・美紀が幸一郎と決別するシーンで「この10年間で幸一郎がいちばんの友達だった」という台詞を聞いて、美紀の過酷だったであろう10年間の孤独が伝わってきて切なくなった。
・美紀と華子がクリスマスや雛祭りについて雑談をするシーンがあり、イベントや文化を楽しむという行為はお金と時間に余裕がなければ難しいことなのだと実感した。
・最初はタクシーに運ばれるだけだった貴族の華子が、ラストでは自分で車を運転するようになっている。離婚や仕事の経験を経ながら、華子が主体的な人生を生きていくようになる結末がよかった。
・余談だけれども、政治家に「太郎」という名前が多い理由を初めて知った
あんだーそん

あんだーそん