ジョン

あのこは貴族のジョンのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.1
観る前から"格差"が描かれているということは知っていて、主人公二人が対立するような形なのだろうと思ってたけど、この映画のアプローチは格差による対立ではなくシスターフッド的な支え合いで、そこが素晴らしいなと思った。
格差が存在し、女性(あるいは男性)の役割が固定化される伝統的な社会制度について、打破する、とまではこの映画ではいかないけど、それに縛られ疲弊した人たちへの視線が優しい。主人公二人は東京の生活に疲れながらも、もがき苦しみ自由を手に入れる。その姿には男女の壁を越えて勇気をもらえる。

終盤、華子に手を振る二人乗りの若者。橋の向こう側。本来なら通る道も向かう方向も違う人たちやけど、華子は目をやり、手を振り返す。なんてことのないやり取りに立場を越えた女性の連帯、そして華子の表情に救いが見える名場面。

庶民派なイメージのある門脇麦とモデルなんかもやる水原希子を主演に据えるなら、配役が逆のような気もするけど、そこから旧来の価値観を脱しようとする意気込みを感じるし、結局ばっちりのキャスティングになっていた。
ただ一点、これみよがしに水原希子の抜群のプロポーションと田舎臭さを照らし合わせるような演出は気持ち悪く感じた。下着からジャージに着替えるシーン要る?配役の意外性を見せびらかすようなあの演出は作品のメッセージと逆行してるような気が…。はたまた僕の先入観が問題なのか…?ちょっとあれはモヤモヤするなあ。
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