なお

あのこは貴族のなおのネタバレレビュー・内容・結末

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

みんなの憧れで出来上がった幻の東京。その中心にある、絶対に入る事ができないやんごとなき世界。質が高くて、でも幸せとは言い切れない、そんな世界。本当の豊かさはない気がする、そんな世界。羨ましいなと思う一方で、しきたりや世間体にがんじがらめで息が詰まりそうでした。
一方、田舎は飲み会でどんちゃん騒ぎして妻子がいるのにあけすけに同級生を誘う碌でもない男が土建屋の社長になれる世界。
安っぽい高級車に乗って堂々とセフレのバイト先に行こうとする、品のない世界。
田舎にこそ本当の豊かさがあるのだ、と思っていたけど、ある種の低俗さをまざまざと見せつけられて、横っ面を叩かれた気持ちになりました。
地方と東京、そのどちらでもない、神奈川の絶妙に便利な政令指定都市で生きてきた自分にはどちらも初めて見る世界でした。
そして、生まれた場所で生活の質は変わるけど、幸せは相対的じゃなくて、絶対的なものだと思いました。
どこの場所にいても不幸はあって、それを話せる誰かがいたら、それでOK。という趣旨のセリフが響きました。その「誰か」がいることは、ものすごい奇跡なのだと思います。

独身でバイオリニストとして活躍している同級生をそれじゃ生活できないでしょと同情する場面では、結婚して家庭にいる人、そしてそれに不満と不安を持っている人はそうやって独りで活躍する人を否定していないと自分を保てないのではないかと感じました。

結婚が幸せで、離婚は不幸せ。独身じゃ生きていけない。そんな枠組みは早く取っ払って、自分の足で自分の幸せを選んで生きていきたいと思います。
なお

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