Adele

タミー・フェイの瞳のAdeleのネタバレレビュー・内容・結末

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

これはすごい!!!
いろんな意味ですごい作品だけど、やはり1番すごいのはジェシカ・チャスティンの演技
彼女の演技力はその辺の女優とは比べ物にならないくらい素晴らしいのはわかってはいたが、今回の演技はもう脱帽!!!
例え、あのヘアメイアなしだとしても、人間や女性としてのほんの些細な表情や動き等、計算されているのか、はたまた自然な動きなのかわからないが本当にうまい!!!
これはアカデミー主演女優賞も大納得

相手役のアンドリュー・ガーフィールドも頑張っていたが、いかんせん、ジェシカの演技が素晴らし過ぎて目立たないくらい

本作のジム・ベイカー&タミー・フェイ夫妻は1970年代〜80年代に一世風靡したTV伝道師らしいが、もちろんわたしはリアルタイムで観たことないし、知りもしない
しかし、どこからどう見たって胡散臭さ500%の夫妻&TV番組なのに、どうして献金する人間があんなにいたのか意味不明…
とか言いながら、自分も、もしあの時代リアルタイムで番組を観ていたなら、献金してしまうのだろうか?などと考えてしまった…
いや、しないな、きっと…

結局、いつの時代、どこの国でも、宗教や神云々を持ち出して、金儲けする輩がいるってことだよね
でも、この夫妻の恐ろしいところは当時の大統領ロナルド・レーガン当選に関わっていたり、彼と協力しながら事業を拡大していったところ
そう考えるとアメリカってつくづく恐ろしい国だよね…

しかし、こんなタミー・フェイだが、一つだけ素晴らしい点があった
それは当時、アメリカ国内で特にキリスト教徒では御法度である同性愛に対して寛容だったところ
まわりの連中が同性愛に断固反対な中、自分の意見をはっきり言ったり、自身の番組で同性愛者でエイズ患者でもある人と対談したりしている
今でこそ、そんなの当たり前だろうが、当時のアメリカのTV番組でそんなことできたのは多大な影響力のあるタミー・フェイだったからなのでは?と思ってしまった

また、タミーは歌の才能にも恵まれたし、途中、進む道を完全に誤ったが、幼い頃からきちんと神を信じている信仰心があったように思う
それに引き換え、ジムは登場した時からなんとなく胡散臭かった
彼も最初は立派な伝道師になるという気持ちはあったのだろうが、最初から貧しさから脱出したい!金持ちにになりたい!という気持ちが少しずつだが見え見えだったように思う
また、自分は浮気したり、女性を犯したりしたくせに、タミーの浮気を責めたりする最低野郎だし

とにかく本作を観て、思ったことは
ジェシカ・チャスティンのただならぬ才能
美人で演技がうまい人はたくさんいるが、彼女の場合、歌までうまい!ほんとうまい!!!
こんなにうまいとは思わなかった!!!
ラスト、タミー・フェイの讃美歌のシーンは圧巻!!!
あれでオスカー獲らないわけがない!!!
元々、ジェシカのファンで彼女の作品はたくさん観てきたけれど、今作の演技が1番かも

また、世間的には彼女のヘアメイクも話題になっていたが、確かに独特な厚化粧
年齢を重ねると共にだんだんと濃くなっていく様子も面白い
でも個人的には彼女のヘアメイクよりも演技に注目してほしいと思う

そして最後につくづくアメリカって怖い国だなと思った…
宗教を理由に信者を騙して金儲けしたり、神はありのままのあなたを愛しているとか言いながら同性愛を断固拒否したりする
まぁ、これはアメリカのみならず、日本や世界中でもあることだとは思うけれど、今作を観て、アメリカって自由の国とか言いながら、まだまだ偏見があり自由じゃないし、1970年代から進歩してないんだなと思いました

当時リアルタイムことを知らなくても充分見応えはあるので、ジェシカ&ガーフィールド両者のファンや少しでも気になった方には、せびとも観てみてほしいと思います
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