小野寺も田所博士も別人のようだし、原作にいない人々に焦点を当てて、ラストも原作とは異なる終わり方。見ながら何の物語を見てるんだっけ？と思うくらい、原作の名前だけ借りた作品だったなあと。原作の余韻が冷めやらぬ身からすると、本作の小野寺は終盤まで何の貢献もせず、最後だけおいしいところをもっていく奴にしか見えなかった。ただまあ、玲子については思い切った改変がされていたのは逆に良かったと思って、原作で小野寺が担っていた側面を本作では玲子に託したという感じではあった。
1973年版と2006年版のどちらが好きかと言えば1973年版と答えるし、はっきり言って本作は原作の良さをことごとく殺していたと思うけど、有事に際しての人々の行動を、何を主眼に置き、どう描くかの違いは分かって面白かった。それが時代の違いにしろ、作り手の違いにしても。
