回想シーンでご飯3杯いける

運命の回り道/リンボーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

運命の回り道/リンボー(2020年製作の映画)
2.9
日本では劇場未公開のイギリス映画。様々な国から集まってきた難民が認定を受けるまで過ごすスコットランドの施設が舞台。祖国での思い出や、あるいは逆に忘れたい苦い経験を持つ人達が、難民の認定を受け新たな人生が始まるまでの空白の期間。原題の「LIMBO」は、キリスト教用語で、死後の世界に於いて地獄に堕ちる手前で留まる場所を指す。

施設内でマナー講座を受ける収容者のシーンがちょっとコミカルだ。社会派の題材を扱うものの、全体的に辛辣な描写は少なく、なかなか本心を表に出さない収容者が、少しずつ心情を表すようになる過程を、穏やかに描いている。

ちょっと困ってしまったのが、視点の動かないカメラワーク。引きのアングルで止め絵かと思ったら、そこに映る人物がわずかに動く、、、、みたいな「だるまさんが転んだ」スタイルの演出がやたら多いのは何故? それがあまりに多用されるので、妙に間延びした印象が残る。

それから、主人公のシリア人青年は、祖国で将来を有望視された楽器演奏家という設定なのに、終盤までほぼ音楽が鳴らない。ウードという楽器らしいんだけど、それがどんな音のする楽器なのか、前半からもう少し分かる構成なら良かったのに。