たく

シンプルな情熱のたくのレビュー・感想・評価

シンプルな情熱(2020年製作の映画)
3.8
なんかジーンと来た。
フランス人の大学教授のエレーヌが既婚者で年下のロシア人男性との恋に溺れて行く話で、彼女が愚かなまでに恋心を曝け出す姿にリアルな人間臭さが出てた。自分はこんな狂おしい恋はしたことないけど、この体験でエレーヌが人生の確かな感触を掴んで前に進む姿が説得力を持って迫ってくる。

冒頭からアップを多用する撮り方が、人物の主観にスポットを当ててる感じで効果的。エレーヌが「二十四時間の情事」に不満を抱くシーンでは彼女はまだ自分の恋心を一歩引いて見てて、そこからどんどんハマってセックスに溺れて行き、服装も娼婦みたく派手になって行くのがちょっと怖かったね。

全編にわたって陽光降り注ぐ昼間の明るい映像になってて、二人がドロドロの快楽に耽る姿とのミスマッチが印象的。彼の3週間の不在中にエレーヌが息子とフィレンツェ旅行に行くシーンで、彫像の逞しい背中を彼に重ね合わせるように見つめるのが彼女の心の寂しさを感じさせて上手かった。

セルゲイ・ポルーニンが天才的なダンサーなのは知らなくて、セクシーな流し目と立派なイチモツにハマる人が多いだろなと勝手に想像。レティシア・ドッシユも初見だけど、美貌がちょっと崩れ始めた年増感が絶妙だった。
最初は理性的だった女性が年下男性との恋に溺れて行く話に、百田尚樹の「プリズム」を連想。
たく

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