ワンコ

シンプルな情熱のワンコのレビュー・感想・評価

シンプルな情熱(2020年製作の映画)
3.8
【フェミニンで、マニッシュな2人の情愛】

最近は「燃ゆる女の肖像」とか、「アンモナイト」、「スーパーノヴァ」なんかのノン・バイナリーの作品が増えて、大人の男女の恋愛が取り上げられることは減ったような気がする。

そんななかで、この作品は、フェミニンなエレーヌと、マニッシュなアレクサンドルの2人の大人の情愛が綴られる。

最近は見かけなくなったけど、僕の通うジムにタトゥーを入れている女性が複数いる。

腰のところと、背中の肩近くにタトゥーがあった。
それぞれ別人だ。

割と露出めなウェアだし、まあ、意図的に見せているのだと思う。

タトゥーのデザインまで話せないが、この作品を観て、自分も興奮するのだろうかと、ふと考えてしまった。

自分や自分の周りにいないような異質な人に惹かれることは確かにある。

単調で退屈な日々を過ごしていれば尚更かもしれない。

性欲だってかなりある。
息を潜めていているだけだったりする。
ちょっとしたきっかけで溢れるように出てくるのだ。

頭で考えて分かっていても、いとも簡単にモラルを超えてしまうこともある。

そんなことは、実は、ありふれたことではないのか。

僕は、そう思う。

この作品は、セックスシーンが話題だけれど、僕は、さほどでもないと思った。

最近リマスター版がリバイバル上映された「愛のコリーダ」の方が、より性に対して率直でストレートな気がする。

どちらかというと、この作品で印象的なのは、一気に燃え上がるパッションは、割と冷めることが多いという締めくくり方に2つの解釈を残しているところだ。

言葉の通り、激しく興味を惹かれても、理解して、気持ちが冷めていったのだと思う人がいれば、敢えて自ら、そのように思い込むようにしているのだと感じる人もいると思う。

それは、過去の、このような男女の恋愛体験によって異なるのではないのか。

燃え上がるのは「シンプルな情熱」でも、エンディングも観る人々の想いも、実はシンプルではないのかもしれない。

でも、これが、ある意味、後腐れのない大人な情愛かもしれない。
それは、なんかシンプルで良い気がする。

よく恋愛と結婚は違うなんて話をする人がいるが、僕は、そうは思わない。
結婚には恋愛感情は必要だし、セックスもとても重要だと思う。

もっとエッチでも良かったかなと考えて、マイナス0.2かな。

※ ところで、「スーパーノヴァ」のレビューから、所謂、LGBTQ+を含めて、二元論的な男女のカテゴリーに分類されないという意味のノン・バイナリーという表現を使うようにしている。

先般、庵野秀明さんを招いて開催した宇多田ヒカルさんのインスタライブの冒頭部で、LGBTQ+を含めたノン・バイナリーという窮屈じゃない表現があるのを知って、彼女は、これを使うようにしていると言っていた。
これは、表面的には女性(男性)だけど、正確や嗜好が、男性っぽい(女性っぽい)、或いは、中性的な服装をすることが好きだとか、恋愛ではないけれど、異性よりも同性の友人といる方を好むとか、「自分自身に属性の判断が委ねられて」いて、宇多田ヒカルさんも自分はノン・バイナリーだと言っていた。

皆さんはどうですか。

僕は性自認として、かなり男性だけど、小学校の高学年まで、男の友人とベタベタするのが好きだったことを思い出した。

もし、宜しければ、ノン・バイナリーという言葉を使って、気軽に話してみてください。

参考まで。
ワンコ

ワンコ