ノラネコの呑んで観るシネマ

Summer of 85のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.3
ティーン版の「ドライブ・マイ・カー」であり、オゾンの作品としてはまたしても物語ることに関する映画だ。
85年の夏に、死に魅せられる16歳の高校生はアレックスは、二つ年上で既に働いている青年ダヴィドに恋をする。
しかし濃密な6週間を過ごした後、彼は突然この世を去ってしまう。
現実の死、それも愛する人の死など、到底受け止められない年齢。
亡き人とのある約束を実行したことで、警察に逮捕されたアレックスは、彼との出会いから別れまでを、物語として書くことで向き合おうとする。
はたして愛した人は何者だったのか?
本当の意味で存在していたのか?
物語化によって経験は相対化され、彼のことだけでなく、自分自身の心も見えてくる。
喪失と再生の物語は、ビター過ぎる青春の通過儀礼。
前作の「グレース・オブ・ゴッド」同様トリッキーさは無く、どストレートなファーストラブストーリー。
オゾンは作風が少し変わってきてるな。