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Summer of 85の一人旅のレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
4.0
フランソワ・オゾン監督作。

イギリスの作家エイダン・チェンバーズによる1982年発表の小説「おれの墓で踊れ」をフランスの鬼才フランソワ・オゾンが映画化したもので、少年同士のひと夏の恋の顛末を瑞々しい映像美で描いた青春恋愛ドラマです。

1985年のフランスを舞台に、両親と暮らす16歳の少年アレックスと、彼がヨットで転覆したところを助けたことをきっかけに知り合った18歳のユダヤ人少年ダヴィドとの少年同士のひと夏の恋と別れを描いた青春ラブストーリーで、オゾンらしいテーマ性と海辺の街の開放的な風景美に酔わせてくれる佳作となっています。

少年同士の情熱的な恋の発展とその儚き終焉、そしてその先にある希望に満ちた未来への歩み出しまでを、“どちらかが先に死んだら、残った者がその墓の上で踊る”という二人だけの閉じた“誓い”への囚われの心情を軸に繊細に映し出した同性恋愛映画で、80年代半ばフランスのノスタルジックな空気感覚&ファッションと当時のヒットナンバーが劇中を鮮やかに彩っています。

蛇足)
本作に良く似たタイトル『サマー・オブ・84』(2017)もノスタルジックなジュブナイル青春スリラーの良作なのでお勧めです。
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