主人公が密告業者から言われた嘘の身の上話をデンマークの職員に話しながら泣くシーンが印象的だった。
なんの涙だったんだろう。
嘘のストーリーに自分の境遇が共鳴したのだろうか。家族を亡くなった設定にすることは、すなわちもう家族とは会えないことだと考えていたのか。
嘘のストーリーに感情が呼応して涙するという行為自体が映画的だなと思う一方、この体験自体はモデルになった人が体験した実話なんだというのが興味深かった。
ロシアに初めてオープンしたマクドナルドのお祭り騒ぎの横で、難民の少女が警察から酷い仕打ちを受ける場面は心が痛んだ。
難民の船を見下ろし、撮影する豪華客船の旅行客の態度が辛かった。
でも、このグロテスクな構造って普段見えてないだけで、自分も加害者的な立ち位置に立ってしまってることもあるんだろうな。
自分を助けてくれた家族のために、自分は何よりもキャリアを築いて成功しなくてはならないという呪縛から解き放たれるラストが良かった。
ラズベリーでジャムとか作ろう!