ちびねこ

スパイの妻のちびねこのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「お見事!」
ラスト近くで聡子(蒼井優)が叫ぶんですが、その演技こそがお見事で。
この映画、舞台劇みたいなシーンがちょこちょこあって、その極め付きがこのシーンです。
蒼井優は本当に演技が上手ですね。
もう壊れてるのか壊れてる振りをしてるのか全く分かりません。

アメリカかぶれのぼんぼん若社長(優作・高橋一生)とその夫を溺愛する妻の話。
私的にはこれがスパイとその妻の話には思えない。

優作はある国家機密を入手してしまい、日本政府に知られぬように正義のため全世界にその情報を流そうとする。
納得いかないわーーー。
それってスパイって言うのかな?
自ら買って出るスパイ?
何不自由なく育って来て怖いもの無しな大人になって、じゃあ次は世の中に名を知らしめてやる!みたいな感じに思えて仕方なかった。
簡単に亡命するとか言い出して聡子を誘う優作なんだけど、この時点で聡子を利用するつもりだったのかな?
それでは聡子が余りにも可哀想過ぎる。

優作は満州から草壁弘子(玄理)を連れて帰った事を聡子には秘密にしていたし、聡子は聡子で自分に想いを寄せている幼なじみで憲兵部隊の隊長 泰治(東出昌大)を優作の留守中に家に招いたり。
お互いに何かと秘密の多い夫婦です。

亡命の日に優作は危険回避の為、2手に分かれてアメリカに行く事を提案します。
聡子は国家機密の入ったフイルムを持ってアメリカ行きの渡航船に乗り、優作は人体実験の資料を持ち、別ルートでドラモンがいる上海を訪ね、その後にアメリカで合流するという計画でした。
しかし聡子はすぐに憲兵に捕まってしまう。
そして泰治から誰かからの通報があったと聞かされます。
そして持っていたフィルムが映写されると…。
それは優作が、趣味で撮ったスパイ映画でした。
それを見た聡子が「お見事!」と叫びそのまま倒れます。
あんなに愛していた優作に自分はこんなにも簡単に裏切られたの?
演技なのか演技じゃないのか分からないほどの名演技で…。

ラストにテロップで、「1945年8月、終戦。翌年優作の死亡が確認されるが、報告書には偽造の疑いがあった。数年後、聡子はアメリカに渡った。」
と、出ます。
優作と聡子は再会出来たのか、それは視聴者の皆さんに委ねます、って事ですね。
どうなんでしょうね。
そもそも優作は本当に聡子を騙していたのか?
聡子を危険な目に巻き込まないように一緒に行くのを止めたのか?
もうスパイよりも夫婦の騙し騙されての話にしか見えない。

蒼井優は夫が大好きな可愛いい妻で、その反面 夫の為には甥の文雄(坂東龍汰)を平気で憲兵に突き出す怖さを持っている。
したたかな聡子を上手に演じていました。
高橋一生はあのキザな役が本当にそうでしょ?
って思えてしまった。
何を考えているのか分からない所も上手だったと思います。
東出昌大については普通かな?
以前から酷評されまくってたけど(特にあの事件の頃)特に酷くは無かったです。
身長が高くてまぁイケメンだし、憲兵部隊隊長の役は凄く似合っていたと思います。
因みに私、この映画を3回も観ました(笑)
ネット配信ですけど。
1回目より2回目、2回目より3回目と観る度に良かったですよ。

で、この映画はドラマ版があるようで、ラストが全く違うみたいです。
ネタバレで読みました(笑)
なので是非ドラマ版も観てみたいです。
ちびねこ

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