Tはっちょう

スパイの妻のTはっちょうのネタバレレビュー・内容・結末

スパイの妻(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

劇場にて。

・セリフの言い回しと蒼井優の演技の凄さ
・持ち込まれた動画を見て人生が変わるって…異物との遭遇というテーマ。cureだし回路だし。
邪悪なパワーというかそういうものに電撃的に人生を変えられるということ自体がすんごい清っぽい。「君は見てないからそんなこと言えるんだ」とかってやりとり。どんどん影響されていく。

・映画の中の映画。
観てるこちらはただ呆然とそれを受け入れるしかないんだという事実。誰にも止められない。
それは劇中劇でもそうだしペストの実験フィルムでもそう。ただただ呆然と観るしか無い。それが映画。

・火の海の感じ。カリスマとか回路とか世界が滅亡していく感じはもうやれないと9.11で実感した。それが現代劇でないからこそやれた。

・目の前で起きてることが止められない恐怖なのではないか?ペストがそうで、火の海になっているところもそう。世の中で起きてる大変なことって基本は止められないんだ。

・ののダブルミーニング



お見事!な映画
王道なクラシックな物語。
前半は愛したあの人は殺人犯なのか?映画。ラブロマンス。
8Kドラマで暗い部分はないんだけど、爪、鉄の扉、死体、ラストの絶望感、まるでこの世界は自分一人きりなんじゃないか?と思えるほどの終末観は黒沢清!



鉄の大きい扉に大きな部屋は恐怖映画の黒沢清
あとやはり死体の生々しさとその扱い方がそれ

人がいなくなってく感じとか1人になる怖さ
ラストの急な合成感的世界観を今回は戦火の中でやる

ただ、8Kドラマということもあって暗い場面は全然ない

お見事っ!!!が本当にお見事で、あのセリフのための下地が古風な喋り方なのではないか。
あの蒼井優の台詞は鳥肌
あそこは妻というよりスパイ同士の台詞じゃん。お見事!ってラブロマンスだとしたら夫に言わない。その女とスパイ業の間がシームレスなのがめちゃくちゃイイ。

「の」の使い方、ダブルミーニング