滝井椎野

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースの滝井椎野のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

これは期待以上。
前作の圧倒的クオリティに、これでもかと上がってしまったハードルを越えてくれたのが嬉しい。

どこを切り取っても画になる映像美に、個性的で魅力的な数多のスパイダーマンのキャラクター。戦闘シーンの動きは何歳になっても憧れるような中二心をくすぶる格好良さ。
前作もそうだったが、出オチ感のあるキワモノスパイディがしっかりと格好良いのが何ともズルい。今作でもスパイダーパンクやスパイダーインディア等、好きなキャラクターが増えた。

マイルズが抱えるスパイダーマンである責任というのが、本作で明かされる重大な秘密によってさらに重いものになる訳だが、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というスパイダーマンの永遠のテーマに向き合うにはこれ以上ない適役だったのだと思った。
そして、その孤独をしっかりと描いたからこそ、ラストのスパイダーチームのアッセンブルがこれ以上無いほどに頼もしい。

意図してなのかは分からないが、同じ時期に公開された『ザ・フラッシュ』と似たテーマを取り扱っているのがどう転ぶかと思って観ていたが、それぞれ全く相反する方向性への話になっていくのが面白い。
過去の出来事も自身の力と受け入れて未来へと進んでいく『ザ・フラッシュ』と、スパイダーマンであるが故の運命に真っ向から立ち向かっていく本作。どちらが優れているというものでもないが、これがどのような決着を迎えるのか楽しみ。
滝井椎野

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