かすとり体力

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのかすとり体力のレビュー・感想・評価

4.1
やっちまった。本作、前後2部作の前編だったのね。。
私、待っている間がツラいので、前後2部作は後編が出てから一気見することにしていたのに。。

しかしまぁ本作、映像もストーリーもレベルが高すぎる。

まず映像面で、これは今更私が言うようなことでもないけど、やっぱ凄すぎるでしょ。
前作時点で、完全にエポックメイキングな「異次元の映像体験」を構築しちゃってたけど、その凄さを更新してきている。

冒頭の前作のあらすじ振り返りの時点で凄いし、その後の美術館でのバトルシーンで一気に引き込んだ上、それが最後までどんどんパワーアップし続けるという始末。

ほんと、この映像を観ることが出来るだけでも本作の鑑賞の価値があると言える。

ストーリーについても、そもそもマルチバース系ということでなかなかに複雑な話ではあるが、構成の手際が良いせいかすんなりと頭に入ってくる。

どんでん返し的な展開もフックが効いていて「うおーすげー」って胸熱になるし、「運命とどう向き合うか」「家族とは」などなどテーマの取扱い方もとても丁寧。

なお、運命との向き合い方については、「未来は自分で作る!」という「まぁ今の時代、マルチバースを取り扱うとそこに着地しますわな」という結論ではあるが、ここは次作でものすごい「解」、今後のマルチバース系映画の歴史を変えるような解が準備されているのではないかと期待している。

前作のタイトルが「イントゥ・ザ・スパイダーバース」(邦題では「イントゥ」が省略)、本作が「アクロス・ザ・スパイダーバース」、次作が「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」。
イントゥ・アクロス・ビヨンド。
これ、日本語の概念で一番近いのは「守破離」なのでは。

今のところ「破」の世界、いわゆる「自分の意志で運命に立ち向かう!」のステージにあるマルチバース系の映画に、次なる視座「運命という視点自体を悠々とスルーしていく」、そんな新たな一手が準備されているような気がしてならない。

次作。
出来れば映画館に行って、その瞬間に立ち会いたいな。
かすとり体力

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