Violet

エノーラ・ホームズの事件簿のVioletのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

冒頭からずっとお洒落で可愛い。
エノーラの服装からお屋敷のインテリア、お母さんの残した花言葉の手がかりまで、全てが美しくて目に優しい。
テュークスベリー侯爵を演じるLouis Partridgeが王子様級のイケメンなので最高だった...😳❤️❤️❤️❤️

物語自体にはそこまでのめり込めなかったけど、かわいい女の子のエノーラがシャーロックを凌駕するような頭の回転を見せたり、武道にも長けていたりする一方で、野生のキノコやお花にとても詳しく、自然を愛するテュークスベリー侯爵は典型的な男性像を背負っておらず、こうした2人の描き方は現代らしくて良いと思ったし、とても魅力的に感じた。

▼時代背景
本作のバックグラウンドは女性参政権をめぐる第1次フェミニズムの時代。
1800年代には「女性にも参政権を!」というフェミニズム運動が生まれたが、英国では1832年以前は男性ですら全員が選挙権を与えられていたわけではなく、選挙権を有していたのは特権階級のみ。そしてその後1884年には成人男性のほとんどが選挙権を有することとなった。
本作はちょうど1880年代を舞台としていると考えられるため、本作終盤の投票は男性が平等を勝ち取るためのものである。

そんな中、「サフラジェット」と呼ばれる女性たちが誕生する。彼女たちは依然として選挙権が与えられない状況に怒りを募らせ、過激な活動に転じていった第1次フェミニズムを象徴する女性たちの存在である。
1905年以降はその活動は更に激しさを増し、投石、放火、ハンガー・ストライキ、自殺、爆弾などあらゆる手段を行使するようになる。

つまり、劇中では詳しく語られることはなかったが、エノーラの母親は今後サフラジェットに転じていく存在であることが伺える。
過激で危険な存在とされたサフラジェットの女性たちだが、ここまでしないと国を変えることができなかったのだ。
エノーラの母親が最後に語る台詞からも、当時の女性たちが未来ある我が子のために世の中を良くしたいと願う姿が伺える。

“I didn’t leave you because I didn’t love you. I left for you because I couldn’t bear to have this world be your future. So I had to fight. You have to make some noise if you want to be heard.”
「家を出たのはあなたを愛してなかったからじゃないわ。あなたのためなのよ。こんな世界であなたが生きていくのが耐えられなかった。だから戦わなければならなかったの。この世界に訴えたいことがあるのなら、声を上げないといけないのよ。」
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