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トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そしてのgockのレビュー・感想・評価

3.0
「過去の映画、ドラマ、TVなどの映像エンタメでトランスジェンダーがどのように描かれてきたか」という事を振り返るドキュメンタリー
最初は嘲笑の対象として、次に異常な殺人鬼役や被害者役の対象、TV番組ではすぐ性器やSEXについて好奇の目を向けられていたこと。トランス女優があまりに女性にしか見えなかったら音声を編集で低くされてたこと、時代と共に「あまりに酷い扱い」から「酷い扱い」そして近年になると「特別な存在としてではなく普通の人」といった感じへと徐々に改善してきた。酷い役をやりながらトランスの人たちがポジションをじわじわと獲得した歴史が語られる
80~2000年代の映画に出てきたトランスジェンダーの人は大抵、異常殺人鬼だったり田舎で保守的で野蛮な男に殺される役が多かったり自殺したりと暗い展開になる類型のキャラクターばかりだった印象(そんで結果的にトランスのキャラが出てきたら「また悲しい気持ちにさせられるぞ」と思うようになる)
作中、引用される膨大な作品群には有名作や、僕の好きだった名作も多かった(ラス・メイヤーの『ワイルド・パーティ』のGマンとか)
その中には、当時でも変に思った作品(『エース・ベンチュラ』終盤である長時間トランスジェンダーを侮辱し続けるギャグ)、「言われてみれば…」と初めて思った作品(『羊たちの沈黙』の連続殺人鬼バッファロー・ビルのモデルはテッド・バンディなのに何故作中ではわざわざトランスジェンダーのキャラにしたのか)。また、別にトランスについての映画じゃないんだけど監督がトランスだと知られるとトランス文脈からも見られた『マトリックス』など実に様々。言われるまでトランスキャラが出てたのを忘れてた作品も多かった
「トランスジェンダーについて学びたい」と思ってトランスジェンダーについて熱く語るXアカウントなど見ても一つのポストの中に専門用語が多すぎて何言ってるのか1mmもわからない……というのを10年間くらい繰り返してる気がしてきてこのままじゃ人生終わってしまうと思い、よく本作が褒められてたのでリストに入れて観てなかった事を思い出して足がかりにはなるかもと思って観ました
保守的な刑事(ロバート・デ・ニーロ)が近所とドラァグ・クイーン(フィリップ・シーモア・ホフマン)と徐々に仲良くなっていって悪と共闘する『フローレス』という映画が好きだが引用されず残念
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