話が込み入っていてわけわからなかったが、心地よくて好き。リピートしてエンドレスにしたくなる。騙しあったりしているのに、お前なしでは生きていけない、と互いにラブコールしている。そしてまた裏をかいたり、喜ばせたり、雲隠れしたり。
アレクサンダー・ロックウェル監督が描く映画人たちの映画愛と不思議で濃いい関係。
ピーター・ディンクレイジ主演。こんなに渋みのある俳優だったとは、ナレーションもそうで、声も素晴らしい。借金の形に取られた大切な犬ブッダを探しまわる話。駆け引きが横行し、自己主張する映画界の中で、誠実で自己アピールが苦手な、かつての脚本家兼俳優のケイシー役。
映画制作にどんな形で人が関わっているのかわからないので、それぞれの役割がわからなかったが、
ブシェミが林家パー子みたいだった。
シーモア・カッセルが「イン・ザ・スープ」の怪しいパトロン役と同じく怪しく登場。「愛の物語」を作れと囁く。
あとは、私は俳優をよく知らないので、観たことのある俳優が次々現れては消えていき、また現れる。
興行としての映画には実際は怪しいお金がたくさん動くんだろうけど(保険金目当てで途中で頓挫させる等)、そこはほどよく当たり前のように描かれていた。生真面目なケイシーが借金負っているのもそうなんじゃないかな。
映画業界よくわからないけど、借金背負って、次は当ててやると、再びお金集めて、うまく行ったら少し返して、自転車操業しているのが実情で、制作のために先行投資してもらうと、パトロンの(シーモア・カッセル)言いなりになったり、お金出すから作ってとなったり、映画業界の窓口はたくさんあって、脚本の持ち込みとか、どうプロジェクト化させるかとか、様々な人の関わりの中で紆余曲折しながら制作され、公開まで無事行き着くものも中には少しあるという感じかしら。
失敗を怖がったらできない。つねにリスク負いながら、細い糸の上を渡るスリル、太い橋だと言い聞かせながら。クレイジーでないとできない。映画愛とクレイジーさが同居している。それが描かれていた作品のようでした。