MasaichiYaguchi

シュシュシュの娘のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

シュシュシュの娘(2021年製作の映画)
3.8
入江悠監督が「SR サイタマノラッパー」シリーズ以来9年ぶりに自主映画として手掛けた本作は、新型コロナウイルスのように日本の社会に蔓延しつつある不寛容、文書の改竄をはじめとした不正、数に物を言わせる同調圧力、力ある者にへつらう忖度等、閉塞感溢れるそれらを笑いを交えながらシュシュシュと吹き飛ばしていて爽快感を覚える。
地方都市の外れで暮らし、市役所に勤める25歳の鴉丸未宇は普段から目立たない存在で職場でも孤立していて、そんな彼女に寄り添ってくれるのは同じ役所の先輩・間野幸次だけだった。
そんな間野が或る日、市役所の屋上から飛び降り自殺してしまう。
彼の自殺の原因が理不尽な文書改竄であることを知った未宇は、間野の仇を取り、市政に一矢報いる為に密かにリベンジすることを決意する。
ここから彼女の“ミッション:インポッシッブル”な仇討ちが幕を開ける。
ただ、彼女の仇討ちの助っ人は寝たきりの祖父の吾郎と親友の丹治紗枝子ぐらいで、実質、孤軍奮闘せざるを得ない。
本作には美味しそうな竹輪の煮付けを未宇がふぅーふぅーして食べるシーンがあるが、この日常的に食べる行為が彼女に思わぬ“得意技”に繋がり、そして“武器”となっていく。
果たして彼女の仇討ちの行方は?
早急な問題が解決されぬまま先送りされ、モヤモヤして不安やストレスが溜まるばかりのこの頃だが、この現代の勧善懲悪物は我々が抱えている溜飲を下げ、爽やかな余韻を残してくれます。