にく

私をくいとめてのにくのレビュー・感想・評価

私をくいとめて(2020年製作の映画)
1.3
コロナ禍のせいで思うようなロケができなかったのもあるんだろうが、イタリアのシーンが酷すぎる。「他人」としてしかイタリア人を撮れていない。ヒロインにとってはそうなんでしょうけれど、橋本愛と監督にとってはダメでしょう、それでは。まぁ、能年玲奈のファンにはプロモーション・ビデオとして楽しんでもらいたい(そんなんばっか)。ファンでない人には長すぎる、散漫で、統一感のない、伏線が回収されない、つまり不出来な映画。いかに原作の設定(一人称の縛り)があるからといってもねぇ、もう少し何とかならんか。
 そうそう、伏線といえば、林遣都の車の中の独り言は二人の暗い未来(DV)を暗示してるのでしょうね、きっと。拾われないまま終わるので不気味すぎ。
 頭の中でいつも自分を全肯定してくれる「男」を必要としている(結局のところはミソジニーを内面化している)にもかかわらず、かつてのセクハラ体験を男性全体の傾向として敷衍しミサンドリーをも払拭できないヒロインが、結果として車に乗ると人格が変わるDV男を引き寄せました(という私のあらすじ解釈が間違っていることを願います)。
 過去がないんだよね、このヒロイン。セクハラ体験以外に。家族の影もない。イタリアから帰ったらまず家族に知らせないか?林遣都より先に。
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