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僕と頭の中の落書きたちのtanakaのレビュー・感想・評価

僕と頭の中の落書きたち(2020年製作の映画)
4.0
高校生の主人公が統合失調症と診断されて、病に悩みながらも通学を続け、将来について考え……という物語。
すごく良かった。泣いた。
病気が物語の中心でなく、人生の向き合い方(?)を伝える物語だったと思う。
とは言っても、主人公の世界を伝える工夫はすごかった。当事者の幻覚を観客に伝える演出がユニークな方法で、病気のことを伝えつつも苦しくならない感じだった。一方で光の使い方だったり、現実と幻聴や妄想の境目が分からなくなる構成が当事者の苦しみを伝えてくる。
プロムでゴッホのような絵を使うセンス。精神治療のために療養しながら描いた彼の絵を使うのは、まさに彼が見た景色を見せるためか。
もちろんドラマだからご都合主義なのは仕方ない。しかしそんな物語が現実でも起きうると信じたくなる。希望の物語。
この映画を見終わったときには、目の前の大切な人、愛する人と向き合おうと思えることだろう。

以下、好きなセリフ。



僕の最大の失敗は間違いなく愛する人々から隠れたこと
頭の中の声を信じてしまったんです
彼らに迷惑をかけてる
こんな声を信じてしまった

自分の闇やゆがみを愛する人々に見せるべきだ
彼らは何が現実か教えてくれる
1人じゃ混乱する時にね
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