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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のtanakaのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
3.0
今作は大人向け。
怖いし残酷。人間の醜さが際立つ。
昭和初期と妖怪の物語がとても良く合う。
時代や文化、人々の生活様式が伝わりやすい様に細かいところまで演出されている。
タバコのシーンや、自然の美しさ(田園風景、風の爽やかさ、水の綺麗さ)が印象的だった。
現代よりも自然に近い生活をしていたから、妖怪は身近だったろう。しかし戦後、高度経済成長となり自然と距離が生まれ、ちょうど妖怪離れが始まった時代とも言える。
主人公水木も科学という言葉を使い、出世を志す、この時代の人間らしい。
一方で、この言葉は抵抗に過ぎず、実は人間に失望しているのかもしれない。そんな人間嫌いな水木だったから、ゲゲ郎と気が合うところもあったのだろう。

物語終盤、水木の「もうこんな国滅べばいい」に対して、ゲゲ郎は「お主が生きる未来、この目で見てみとうなった」と言う。
いつの間にか、ゲゲ郎は人間に、少し期待してくれたのかもしれない。
いつの時代も人間は弱いし過ちを犯す生き物なんだろうけれど、妖怪たちは慈悲深い。

それっぽいことを書きましたが、とにかくゲゲ郎は強いし色気があり、戦闘シーンは派手でかっこよく、水木の昭和な物悲しい男というのも魅力的でした。あとなんで浴衣ってこんなに素敵なんだ????
これはオタク大歓喜だろうな。
そして私はゲゲゲの鬼太郎のご先祖様が守ってくれるという展開がとても好きです。
(ちなみにこの映画、よく見ると妖怪の影が一瞬描かれているところありますよね?意識すれば現代でも見えるのかしら)
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