しょうや

ノマドランドのしょうやのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
2.6
・優れた眠い映画か、面白いクソ映画か

またかー、またこういう映画観なきゃいけないのかー。

この時代の映画なら、社会性を描いて当たり前。
演出凝ってて当たり前。
画が綺麗で当たり前。
シンメトリー、ゆっくり動くカメラ当たり前。
女性が裸になって当たり前。
家族が死んでて当たり前。
何か超えてくる表現が欲しかった。非の打ち所がない作品ではあるけど、かといって加点もない。

あと、アメリカの比較的高齢の方が「ハウスレス」にならざるをえない状況というのは紛れもない「リアリティ」なんだけど、これをアートという快楽として享受してる私たちって・・・?『シンエヴァ』の第3村のようなスローライフは(現代の社会構造では成り立たないから)「ファンタジー」だという視点が、今こそ必要ではないか?

レディオヘッドの『A Moon Shaped Pool』ってアルバムの何が良かったかっていうと、リリースの直後は誰もが全容を飲み込めなかったってこと。
しかし今では彼らの他のアルバム同様傑作扱いだし、理解した気になっている人は大勢いる。しかし十二音技法やトーン・クラスターといった実験音楽や現代音楽の手法を取り入れたこのアルバムのサウンドは誰も容易には理解できないはず。「分かった気になるなよ」というトムの薄ら笑いが目に浮かぶような。

『ノマドランド』の扱っているテーマは確かに今の時代に上手くアジャストできているし、分かりやすいしカメラワークも良いし素晴らしい。『シェイプオブウォーター』や『グリーンブック』に見られた厭らしさもここにはない。でもこういう映画がみんな好きなの?
こういった映画的な映画よりも、拙い中にキラリと魅力が光る作品に、また出会いたいものです。とにかくこのクロエ・ジャオ監督の次作はマーベル映画『エターナルズ』、超楽しみ!
しょうや

しょうや