【家族を救うため文字通り奔走するアイダ】
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争におけるスレブレニツァの虐殺を描いた作品。
元高校教師で国連職員という立場を利用して夫と息子たちをトラックに乗せまいとアイダは奔走に奔走を重ねる。
こうした振る舞いを「自分たちだけずるい」と非難するのは簡単だが、その先を予測できる状況下では同じ立場なら誰であっても同じ行動をとったであろう。
直接描かないことで逆に悲惨さを想像させる演出ももちろんのこと、最近まで一緒の社会で生活をしていた人たちが敵になり、そしてその人たちと暮らしていくことになる理不尽さも印象的に描かれている。
なぜ人間は学ばないのか。