LEONkei

親愛なる同志たちへのLEONkeiのレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
3.7
鎌で広大な地の草木を切り刻み、槌で目の前の杭を打ち砕け、親愛なる同志たちよ今こそ真っ赤に染まり団結する時が…。

1962年社会主義体制下のソ連の田舎町で起こった工場の賃下げから労働者の不満は高まり反乱を、ソ連共産党とソ連軍と地元の党員とKGBらガチガチな組織体は如何に労働者を容赦なく抑制するのか。

立場は違えど其々が守るべきものが有り生きるべく手段が有る、それが党員の立場なら組織に対する忠誠や貫く社会主義への信念。

真実は当事者にしか分からないが今だから製作できる社会主義体制下の人々の理想と現実の矛盾に葛藤する巨大な怪物ソビエト。

子が親を住人が住人を差し出す密告制度の不自由な社会で、何を信じ何を糧に生きているのか不遇に満ちた時代。

親愛なる同志たちよ、本当に守るべきものは何か。

例え屈強な共産党員や強固な労働者の団結より遥かに強い結びが何であるかを知ったとき、自由社会で生きる私達の当然が社会主義体制では当然ではなく団結に脆さが露呈する。

しかしまだまだこの1962年時点ではその脆さは単なるソ連の小さな出来事に過ぎず社会主義体制は粛清によって消え去る。

鎌と槌で何が得られるか…。

世界はひとつではない、見ているものの数だけ世界はある..★,
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