最初はスリラーなのかと思う。きらびやかな結婚パーティーに見え隠れする格差の視線、そしていかにも裏がありそうな金銭要求。疑心暗鬼になって目を凝らしていると、まったく別の角度からズコンと殴られる、そんな作品だ。
かの国で上流に位置するであろう白人のマリアンが、鮮やかな赤いドレスを着て、緑のペンキをかけられる。国旗の色合わせで、メキシコという国家の危うさを体現させたのかと想像する。
にしてもマリアンは、数ある登場人物の中でも、断トツでまともなのだ。まともが故に…という破壊力の高い結末と、イメージフォーラムのひんやりした床の相乗効果で、心が冷え冷えになりました。