トロント国際映画祭にて。
これまでのミシェル・フランコ監督作の中ではちょっと毛色が違うというか、地獄っぷりが突き抜けている。
格差社会がもたらす惨劇、人間や社会の嫌な部分酷い部分という根底は同じで一貫しているが、まるでバイオレンススリラーの様相。
メキシコ・シティで行われていたなごやかな結婚式、上流家庭と思われる新郎新婦とその家族。そこへかつての従業員(使用人？)が身内の医療費を工面してほしいとやってくる。
このあたりはいつものミシェル・フランコの静かなイヤな話になるだろうなあと思ってた。
しかし、式場のすぐ近くではとんでもないことが起こってた。
そこにはもう富裕層も貧困層も関係なく、抵抗勢力？の暴力が広がり、カオス、地獄絵図。
格差問題を抱えながらもなんとかうわべだけは秩序を保っていたように見えた町は一気に混沌として、まるで抵抗勢力は新たな秩序(New Order)を暴力によってもたらそうとしているよう。
容赦ない殺戮に見ていてどうしていいかわからなかった。唖然。
社会や政府が抱える問題の鬱憤が爆発したなれの果てという感じ。そこにはもはや法も秩序も階級も勝者敗者も存在せず。
まさかミシェル・フランコがバイオレンススリラーを撮るとは予想してなかった。びっくり。
