雷電五郎

ザ・ファブル 殺さない殺し屋の雷電五郎のレビュー・感想・評価

4.0
前作視聴済みです。

最近タイトル+副題で続編を宣伝する傾向がありますがナンバリングは観たか観ていないか、前作を視聴済みか視聴済みでないの指針にもなりますのでタイトル+ナンバリング+副題にして頂けるとありがたいです…シリーズ作品が増えると一層分かりにくくなりますので…

前作に引き続き、組織のボスから殺しをせず普通の生活を送るよう厳命された佐藤と洋子のコメディチックな会話の背後でシビアな裏社会の現実が繰り広げられるミスマッチ感が非常に面白いです。

佐藤の敵役として登場する犯罪者側の倫理観のなさがえげつない程、日常パートでミサキや社長との佐藤の会話がなごやかでホッとできる一方、そうした日常の中にも潜む犯罪がふんだんに描写されるのでシリアスな面だけを中心にするとちょっと胃もたれしてしまう向きもあります。
日常パートがそうした気分が悪くなるような裏社会描写を緩和してくれるため、より観やすく親しみを感じるのが奇妙でもあり魅力的だと思います。

また、アクションシーンは邦画の規模としてはかなり派手で、カーアクションも団地をまるまる使ったアクションも見応え抜群。今回は特に主演の岡田准一さんとブラジリアン柔術家の橋本知之さんが一対一で闘うシーンがずば抜けて迫力がありました。本職の方の技のキレ、素晴らしかったです。
日本では銃は馴染みのない武器でもありますので、人が多くいる状況では必要最低限に使用するというのも日本らしく、火力にものを言わせるというよりコンパクトに技術と体力のクオリティでねじ伏せてゆく佐藤の動きは圧巻でした。
脚組が崩れてゆくシーンはハラハラしてしまいました。

ラストはしんみりとした終わり方でしたが、人を助け救っても結局のところ佐藤は殺し屋でありヒーローではありません。
自分にまつわる出来事は連綿と裏の世界へ繋がり、その因果を断ち切ることはできない。あくまでも殺し屋という職業を美化することなく描写しているのがとても好きです。日常と裏社会の落差こそがこの作品の魅力でもあると思うので。

今回は洋子のアクションも見れて嬉しかったです。好きなシーンはたくさんありますが、鈴木が洋子の家に押し入ってきてからの一連の展開がとても好きでした。
エンドロールの後に脳の断面図解が意味深に映されたのは3への布石でしょうか。wikiで確認したところ、脳の扁桃体に異常のある登場人物が洋子の因縁の相手のようなので、3が作られるのでしたら楽しみに待ちたいと思います。
雷電五郎

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