ミシンそば

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版のミシンそばのレビュー・感想・評価

3.5
トルナトーレ監督作は実はあまり観ておらず、「ニュー・シネマ・パラダイス」さえも何だかんだで未見なのだが、多分本作は、その延長線上にある作品なんだろうなと個人的には思った。
完全版から40分以上カットされているバージョンだからそう感じるのかもしれんが、そう感じるからこそ、「アレ…思ったほどでも…?」ってのは少しあった。

二十世紀初めの年に、豪華客船ヴァージニアン号で生まれ、生涯船から降りなかった一人の男、ダニー・ブードマン・T.D.レモン・1900こと、1900の物語。
エンニオ・モリコーネと言う存在に助けられて成立している部分もやはり多いが、そのモリコーネの音楽に関しては文句のつけようがない。
ジェリー・ロールと1900の演奏対決の完成はやっぱり高く、煙草やジェリーの表情と言った分かりやすい物差しの存在も相まってピアノを全く知らない自分でもどっちが勝ったか弾き始めから分かるほどだった。

1900を拾ったダニーをはじめ、彼は船員やコーントランペットの奏者マックスなんかもみんないいやつで、1900は本当に愛されて育ったって分かるのだが、二つの大戦を経ても彼が船を降りなかった理由もまた、その優しさからなのか。
何にせよ、自分の口からどうなれば良かったのかなんて分からないんだが。