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水俣曼荼羅のぷーやのレビュー・感想・評価

水俣曼荼羅(2020年製作の映画)
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かなり長い作品だけど、だからこそ被害者一人ひとりの日常や戦い、苦悩あるいは愛が鮮明に描かれている。徹頭徹尾被害者に寄り添った作品で、監督曰く加害者側にこの人を撮りたいと思わせるような人はいなかったからとのこと。それを文字通り受け取っていいのかはわからないが、15年間卵の側に立ち続け、彼らの生きる姿を映し続けたのはそれだけで素晴らしいし、このことを知れてよかったし、無責任だけど全員が救われてほしいと思う。
とはいえ、普段システム側、壁側として仕事をしている自分としては、メモをぶん取られる官僚の側にも思いを馳せてしまう。なぜ認定してあげられないのか、お金の問題なのかメンツの問題なのか、あるいはあまりに長大な問題になってしまったゆえに、誰も全容が分からず運用を変えることができないのか、自分にも何か突きつけられているように感じた。
決め台詞的なのの文字演出とかちょいちょい好みでないとこはあったけど、それを差し引いても余りある引力がある作品だった。
あと、被害者に寄り添いながらも研究者然とした面もある浴野先生と、会で大号泣していた二宮先生のコンビはどっちもとても好きな感じ。
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