にょいりん

水俣曼荼羅のにょいりんのレビュー・感想・評価

水俣曼荼羅(2020年製作の映画)
4.0
三部構成で6時間強の上映時間は長く感じなかった。
この映画は今も続く水俣病の深刻な被害を扱ったドキュメンタリーだが、時にはコメディー要素もあり、時には病気の真相を解き明かしていくスリリングなミステリーでもあり、または味わいのあるキャラクターが織りなすヒューマンドラマでもある、まさにエンターティメントとして楽しめた。
登場人物のキャラクターそれぞれがしっかり描かれていてまさに曼荼羅の様な色鮮やかな群像劇だった。ただ、被害者側の支援者達が怒りの感情を前面に交渉して相手に土下座を求めるようなシーンを観て、怒りだけで物事を進展させる事の問題と限界を感じた。また、この映画は国家権力を明確な敵として配置しているので役人は完全に悪者として存在しているが、ひたすら謝り続ける担当者も人間であり、それぞれの思いがあるはずなのでそちら側の視点も入っていたら、より鮮やかな曼荼羅になったと思う。