滝井椎野

ザ・フラッシュの滝井椎野のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

マルチバースに翻弄される姿はコミカルで、過去と後悔を後ろに走り去る。実にフラッシュらしい映画だった。

初めてジャスティス・リーグを観た時からスナイダーカットを挟み、遂に待ちに待ったフラッシュ単独作。
最近はDC映画の大衆化が上手く進んでいて、『シャザム!』なんかもそうだが笑いどころが判りやすく、それでいて泣かせるところはしっかりと泣かせてくる。本作も例に漏れずで、劇場内では所々で笑いが起きたりと良い雰囲気で最後まで観れた。

フラッシュの超スピードは、やはり少年心をくすぐり、あの走り出す際の構えは何とも真似したくなる。
スピードフォースの世界でのCGが少し安っぽかったりするのはご愛嬌というもので、それ以外の壁抜け等のアクションは超スピードとはなんぞやという点で、観ていて面白かった。

本作はフラッシュ初の単独作ということで、彼が真の意味でのヒーローになるまでの過程や、能力に対する責任等が描かれているのだが、そこでマルチバースバリーを出すことで、元のバリーとの対比が効き、テーマがより強調されて良かった。
この両者の演じ分けが見事で、エズラ・ミラーが素晴らしい役者であると改めて感じられた。それだけに、今後は日常生活を送る際、もう少し慎重な行動をお願いしたい。

そして今回、もう一人の主人公といえるのがマイケル・キートン版バットマン。
映画タイトルこそフラッシュであるが、これは実質キートン版バットマンの続編でもあり、ファンからすればこれ以上無いほどに嬉しい作品だった。
ベン・アフレックのバットマンももちろん素晴らしいのであるが、火力ゴリゴリタイプの彼とはまた違った、世界最高の探偵としての落ち着きとあくまで普通の人間として限界まで鍛えられた超絶技巧のアクションが堪らなく格好良かった。

もちろん、彼ら以外にもスーパーガールのサッシャ•カジェも美人で格好良くて素晴らしかった。
これらのキャラクター、本作だけで終わらせるにはとても惜しいので、今後も何らかの形で絡ませてくれると嬉しいのだが……。

色々とケチの付きがちなDCユニバースだが、本作もその煽りを受けてしまっているのは否めない。
そんな中でも、これまでのDCが培ってきた歴史が詰まった本作は素晴らしい作品だったと思う。
それにしても、ジョージ・クルーニーのブルース・ウェインだけでなく、ニコラス・ケイジスーパーマンまで拝むことが出来るとは……。
それらの黒歴史や幻の企画もしっかりとユニバースのひとつなのだと、なんとなく嬉しくなった。
滝井椎野

滝井椎野