赤足

ベイビー・ブローカーの赤足のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
タイトルのベイビーブローカーと聞いて、当初はブローカー寄りの話なのかと思っていたが、まさかのロードムービー作品と登場人物に
子供を捨てた母、ブローカー、刑事。3つの点が繋がった時に衝撃を受ける!

前作の万引き家族から共通する部分と同じで登場人物全員が過去に何かしらの心の傷を持ち合わせ、奇妙な出会いから子供を売るという旅に出て、ギクシャクした不思議な関係から次第に、売り物であった赤ちゃんのウンスを中心に、お互いの価値観を過去を知り理解し合う過程と感情が積み重なり、自然とお互いがなくてはならない家族の様になっていくストーリーは見ていて穏やかな気持ちといずれ絶対にさよならが決まっている旅路を重いテーマながらも淡々とそこにいるかの様に映し出す自然な登場人物達の自然な演技を見ている間に、とても愛おしくひとりひとりを次第に好きになっていた!それと同時に、どうこの物語を着地させるのかという部分にも興味が湧いた。

是枝監督作品シリーズを通してなのか?テーマでもあるかの様な自明は人としての在り方を常に静かに問いかけられるかのような感じがし、特に観覧車🎡でのドンスとソヨンのシーンは一番印象的に残り、過去と現在そして未来がそこに集約されているかの様な美しさであった。

一見したストーリーに隠された二面性、登場人物全員が許し許され今を生きることに疑問を持ちながらも、共有した時間の中で理解し合い出した「生まれてきてくれてありがとう」という言葉に込められた、再生への道。

見終わった後に、何を感じるかどう生きるか?
万引き家族の時同様に、投げかけられた問にどう答えるかは見た人感じた人でしか分からない。




ベイビーブローカー を見終わった後にamazarashiの曲「さよならごっこ」が無性に聴きたくなり、まさにこの作品を歌いあげているかの様な世界観で終わった後にひとり聴いて世界観に浸ってしまった(笑)


辛さなら背負えるから
痛みなら分け合えるから
でもキミの運命までは肩代わりできない

いずれ必ず離れ離れになるということは1度は1つなれたかな
諦めと呼ぶには後ろめたい運命、運命
そう君はよんだ
赤足

赤足